創業・明治42年。以来、100年近くにわたって江の島の観光客に親しまれている「江之島亭」。 店長の片野さんは、この老舗食堂を切り盛りしながら、江の島を取り巻く環境の変化をつぶさに見てきた。 「昔は修学旅行など団体のお客さんが多かったんですよ。それが、道路が整備されて、どこに行くにも交通の便が良くなった。それで一時はお客さんの数も落ち込みました。でも最近は、江の島をもう一度見直そうという動きが出始めた。近郊のお客さんが、ハイキングがてら遊びに来るようになりましたね」

江の島に訪れる人は変わっても、おいしい海の幸ときれいな景色で迎え入れる気持ちは変わらない。 「不便は不便だよね。でも、このまま、余計なことをしないほうがいい。」 老舗食堂ののれんを守り続けていくことは、江の島本来の良さを守り続けていくことでもあるのだ。

ちなみにこのお店、映画『男はつらいよ 』のロケで使われたことでも有名。 映画に登場する通称“寅さん席”は、窓際のいちばん眺めのいいテーブル。 運がよければ座れるかも！