風の吹くまま 気の趣くまま、東の空が茜あかねいろ色に染まる。 夜明けを意味する言葉『東雲』（しののめ　とううん）。

名前通りに東雲亭（とううんてい）は江の島から東の空を眺めたっている。 江島神社 中津宮（なかつのみや）横にあるその茶屋は天保時代（江戸後期）半兵衛茶屋としてあったという。 中津宮までの勾こうば配いが急な坂道の上にある茶屋は、さぞかしにぎわったであろうと想像がつく。 約二百年もの時を経て同じ場所で飲むお茶には、とても味わい深いものがある。

現在の東雲亭は気まぐれに営業していると言う。 店主の安岡さんのやわらかい笑顔は、晴れた空に気ままに浮かぶ雲のよう。 中津宮を訪れたら、東雲亭をのぞいてみよう。